Muho’s diary

小説などを書いている大倉崇裕のオタク日記です。

小説などを書いている大倉崇裕のオタク日記です……が、最近は吠えてばかりです。見苦しくて申し訳ありません。でも、いま日本を支配している政治家とその一派の方が遙かに見苦しいでしょう? ちなみに、普通の日常はこちらです。https://muho2.hatenadiary.jp

難民申請者は濫用者ばかりという政府案の立法事実は崩れました

 

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難民認定率が低いのは、申請者の中に難民がほとんどいないということだとも述べている。発言は法案の基礎となった資料に記載され、送還を逃れるために難民申請が乱用されているとする入管当局の主張の根拠になってきた。

  参与員は、入管による審査で不認定とされて不服を申し立てた人の再審査にあたる。柳瀬氏は別の場で、年間千件ほどを担当したと受け取れる発言もしていた。

  あり得ない数だとする指摘に、入管当局は参院の法務委で、柳瀬氏が昨年、一昨年に計2600件余を実際に担当したと説明している。100人以上いる参与員の中で突出して多いという。

  その2年間に勤務したのは60日余で、1日40件ほどになる。それだけの件数を適正に審査できるとは思えない。膨大な数に紛れて、難民として保護されるべき人が見過ごされてこなかったか。

  速やかに再審査の手続きを済ますことを優先して案件を次々と処理していたのだとすれば、難民と認定すべき人が見つからないのは当然だろう。いずれにせよ、柳瀬氏1人の意見を参与員一般の見方であるかのように装って立法の根拠とするのは妥当でない

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柳瀬氏は参与員として、2022年の全体処理数4740件に対して1231件(勤務日数32日)もの審査を行い、2021年の全体処理数6741件に対して1378件(勤務日数34日)もの審査をしていたということです。この数字を前提とすれば、2021~2022年の柳瀬氏の平均処理件数は1日あたり40件程度です。仮に、1期日8時間従事したとすれば、1件あたりに掛けられる時間はわずか12分となりますが、その後の入管庁の説明によれば、1期日の従事時間は午後(の4時間程度)ということなので、1件あたりに掛けられる時間はさらに短い6分ということになります。また、2021~2022年の参与員は110名ほどいたことを踏まえれば、上述の柳瀬氏一人の担当件数がいかに突出した異常な数値であるかがわかります。

  この点、柳瀬氏は、上述の2021年の参考人招致の際、

  「私は、申請者一人一人に丁寧に話を聞き、難民の蓋然性、いわば難民らしさですが、というものを尋ねて、何とか難民の蓋然性のある人を必ず見つけて救いたいという思いで参与員の職務に当たってまいりました。」

  「さて、私どもの参与員による審査ですが、改めて、第三者として、申請者の意見を聞き、徹底的に聞き直します。」

  「私は、今後も、丁寧な審理を続け、難民の蓋然性が認められる方を絶対見逃さないという気持ちで参与員の職務を行ってまいりたいと思います。」と述べています。

  政府は2020年以前の柳瀬氏の審査件数等は明らかにしていませんが、2021~2022年の件数からして、およそ丁寧な審理は不可能です。柳瀬氏の発言に依拠した、難民申請者は濫用者ばかりという政府案の立法事実は崩れました。