2024年の秋に、これまで使われてきた健康保険証が廃止になります。これまではずっと、この健康保険証が1枚あるだけで、いろんなことに対応してもらうことができました。
ところが、2024年秋に従来の健康保険証が廃止された後は、患者ごとに、保険証に代わる以下の6つのパターンのいずれかに、医療機関の窓口は対応しなければならなくなります。
①マイナ保険証
②暗証番号のないマイナ保険証
③マイナ保険証を持っていない人のための資格確認証
④被保険者資格申立書(オンライン資格が確認できない患者に、本来の自己負担額の保険診療を行うための申請書)
⑤資格情報お知らせカード(マイナ保険証を利用できない医療機関で、マイナ保険証と同時に提示することで保険診療が受けられるようにするもの)
⑥従来の健康保険証(これまでの健康保険証は2024年秋に廃止するが、政府は完全廃止までに1年間の暫定期間を設ける)
複数の異なる保険証の形に対応するため、医療機関の窓口業務はメチャクチャ大変になりますし、こういったものを持っていかなければならない患者さんも迷う可能性がある。
停電が起きれば一時的にカードリーダーが使えない事態も発生するでしょうし、顔認証がうまくいかない問題はすでに頻発している。暗証番号を3回間違えて、拒否になってしまう患者さんをどう扱ったらいいのかなど、窓口と患者の双方にとって多大な混乱や手間を強いる事態が想定されます。
健康保険証は1カ月に一度出せば良かったけれど、マイナ保険証は毎回提出が必要になります。そのたびに、何か齟齬があると、そこで手続きが止まる。
国はカードリーダーの設置に補助金を出していますが、全額出してくれているわけではないので、医療機関は自分で設備を購入しています。「設置しないと保険医の資格取り消しになりますよ」という脅しを受け、しかたなく設置している。そのコストは自分持ちです。
マイナンバーカードの有効期限は10年ですから、同じタイミングで新マイナンバーカードを出したら、両方が同時に使われる期間は10年になります。
10年間も2台のカードリーダーを置かなければならないのですか? 2倍のコストを医療機関が負担するのですか?
忙しい医療スタッフに余計な手間をどんどん課している。そして、問題が発覚するたびに場当たり的に新しいカードや申請書などを出していく
マイナ保険証の導入で、廃業を決めた医師が全国にすでに1000人以上いる
介護する相手は老人や寝たきりの患者さんです。誰がマイナ保険証を管理するのでしょうか。
たった1枚のカードで、国民全員がどこでも誰でも安く医療を使える「国民健康保険」のシステムを日本は60年かけて構築したのに、こんな拙速なDX戦略のためにそれを壊そうとしている。
現行のお薬手帳の方が正確で情報が新しくて、よっぽどリアルです。
今ある健康保険証の廃止をやめることです。