厚生労働省は5月12日、マイナカードと保険証を一体化した「マイナ保険証」をめぐり、別人の情報を間違って本人の資格情報(加入している健康保険や自己負担限度額など)にひも付ける「誤登録」が2021年10月から2022年11月までの1年2カ月間に7000件以上見つかったと発表した。そのうち5件では別人の薬剤情報や医療費通知情報が閲覧されていたという。
厚労省によれば、入手したマイナンバーの番号が間違っていることに気付かないまま健保組合が入力し、資格登録をしたことが原因だという。誤登録があると、患者情報の漏洩などのプライバシーの侵害や間違った処方につながるおそれがある。
法律の成立によって従来の保険証が廃止された場合、マイナカードによる資格確認に頼らざるをえなくなる。その際、オンライン資格確認で『該当資格なし』となった場合、正確な資格内容がわからないので、窓口でいったん医療費全額(10割負担)を支払ってもらわなければならなくなる。そうなると患者さんとのトラブルは避けられず、大混乱になりかねない」
保険証の廃止とマイナカードへの一本化は2022年10月、マイナカードの普及を急ごうとした河野太郎デジタル担当相の鶴の一声によって決まった。それに続く今回の法案は、拙速のそしりを免れない。新制度が信頼性を欠く中で保険証を廃止した場合、社会の混乱は不可避だ。