日本に逃れた難民の保護を揺るがす法案が再び国会に提出されました。ウクライナ難民の受け入れに光があたり、日本の難民保護の課題が見えにくくなっていますが、状況は廃案となった2021年から変わっていません。難民が公正に保護されるために、法案への世論の関心が必要です
難民申請中は送還を停止する規定に例外を設けることをはじめ、外国人の命にさえ関わる重大な問題をはらんでいる。
在留資格がない外国人に対し、収容に代わる制度として設ける監理措置にしても、認めるかどうかを判断するのは入管だ。裁判所は関与せず、収容された場合の期限の定めもない。収容を原則とする政策の根幹は変わらない。
国連人権理事会の特別報告者らが21年に続いて、法案の見直しを求める公開書簡を日本政府に送っている。送還停止の例外規定に強い懸念を示したほか、司法の審査を欠く無期限の収容は自由権規約が禁じる恣意(しい)的な拘禁にあたることをあらためて指摘した。
政府はそれに向き合おうとさえしない。斎藤法相は「一方的な見解を公表したことに抗議する」とまで述べている。独善が際立つばかりだ。法案を廃案にした上で、難民認定や収容政策のあり方を根本から問い直す必要がある。