- 友人の結婚式からの帰路、混んでいて指定席がとれなかった。息子もいるので、唯一空いているグリーン車二席を確保。快適な旅となったわけだが、座席に置いてある雑誌が、もう表紙、内容とも腐っていて驚いた。何でこんなアホなものが置いてあるのだろと不思議に思っていたのだけれど、なるほど、こういうことか。
安倍総理の盟友、葛西敬之名誉会長率いるJR東海のグリーン車の全席で配布される雑誌『Wedge』は毎号、原発推進や中国牽制など目に余る記事があるけど、今月号も煽りがヒドい。対話を模索する国際社会で完全に日本の足を引っ張ってる。ビジネスマンを洗脳しないでほしい。 そしてまた原発推しも。 pic.twitter.com/LPKNcDyyLp
— 香山リカ (@rkayama) 2018年4月7日
JR東海の新幹線グリーン車で無料配布される『Wedge』の2011年7月号は特集「それでも原発 動かすしかない」。実物見たときは目を疑った。
— 香山リカ (@rkayama) 2018年4月8日
2011年6月に新幹線でこれが配布されたんですよ
◎日本経済のダメージはどこまで
◎国が前面に立てば動かせる
◎賠償スキーム 東電だけが悪者か pic.twitter.com/e1nEUBhlqY
- こんなクソみたいな雑誌はありがたく、配布するくせに、不都合な文書は隠したり書き換えたりするわけか。
2016年9月30日、ジャーナリストの布施祐仁さんが防衛省に対し、2016年7月当時、南スーダンに派遣されていた部隊の業務日誌(日報)の情報公開を請求した。
↓
防衛省はこの情報公開請求に対し12月、「すでに捨てたので存在しない。だから、開示できない」と回答した。請求のわずか2ヶ月前に作られた文書であるにもかかわらず、だ。
↓
稲田朋美防衛相(当時)や自民党の河野太郎行革本部長(現外相)は、防衛省に記録を再度探すよう求めた。
そして2017年2月、防衛省は「電子データのかたちで残っていた」として、日報を公表した。
↓
実際には、防衛省は2016年12月26日には、日報を見つけていた。しかし、防衛省の幹部から稲田防衛相に日報発見の報告が行われたのは2017年1月27日。1ヶ月にわたり、大臣にもこの情報が隠されていたことになる。
↓
この問題で、特別防衛監察(=内部調査)が行われ、7月28日にその結果が発表された。
監察結果は、陸上自衛隊内部で、日報の公表は好ましくないとして、「これは個人資料であり情報開示対象にならない」といった操作が行われ、組織的な隠蔽があったと結論づけた。
稲田防衛相はこの日、辞任した。安倍首相にも任命責任などを問う声が強まった。
南スーダンではキール大統領派とマシャール副大統領派の対立が武力衝突、そして深刻な民族対立に発展。2016年7月には自衛隊宿営地周辺でも銃弾が飛び交う事態となった。
このままでは、PKO5原則の最初の項目である「紛争当事者の間での停戦合意」が存在しないとして、野党や国民から自衛隊の即時撤退を求められるということになりかねない。
このため、2016年秋の国会で稲田防衛相は「衝突であり戦闘行為とは言えない」と苦しい答弁を続けた。
しかし情報公開請求で隠蔽された日報には「戦闘」という言葉が現れ、周囲での交戦の状況が報告されていた。
これが公表されれば、南スーダンへの自衛隊派遣はPKO5原則に違反する疑いがある、と、防衛省や政権への批判が高まりかねない。だから隠したという推論も成り立つ。
イラク派遣部隊の日報も、2017年2月、野党議員からの資料要求に対し、防衛省は「不存在」と回答。稲田防衛相(当時)も国会で「確認したが見つけることはできなかった」などと答弁していた。
↓
小野寺五典防衛相が、イラク派遣時の日報が見つかったと発表したのだ。その分量は、延べ376日分で計約1万4000ページにのぼる。
↓
小野寺防衛相が今度は「陸自研究本部で日報が見つかったのは2017年3月27日だった」と発表した。
つまり、防衛省は内部でイラクでの日報の存在を知りながら、稲田前防衛相らに報告しないまま、2018年3月31日に小野寺氏に報告するまで、1年にわたり隠していた、ということだ。
この問題でまず問われるのは、こうしたルーズな情報管理を許すと、「文民統制(シビリアンコントロール)」の原則が揺らぎかねないという点だ。
自衛隊の行動を最終的に決定するのは、国民に選挙で選ばれた文民の政治家だ。制服を着た自衛官は政治家、ひいてはその背後にいる国民に対し、適切な情報と取り得る選択肢を開示し、判断を仰ぐ。それが民主社会における原則だ。
もし自衛官らが情報を意図的に隠すことを許せば、政治家は適切な判断を下すことができなくなり、その結果もゆがんだものになる。
もしも次第に文民統制が失われてゆくとすれば、その行き着く先がどうなるかは、軍人が決定権を独占して次々と戦線を拡大し、やがて国家存亡の危機に陥った1945年までの日本の歴史が、如実に示している。
安倍政権下では、公文書や情報を巡る問題が相次いでいる。
まず、森友問題はもともと、国有地の売却価格が非公表だったという不自然さを朝日新聞が2017年2月に報じたことで火が付いた。その後、公文書の改ざんが明らかになり、佐川宣寿国税庁長官が辞任し、国会で証人喚問された。
加計学園問題では、「総理のご意向」などと記された文部科学省の文書の存在が明らかになった。菅義偉官房長官は当初「怪文書みたいなもの」と切り捨てようとした。
2018年2月には、国会論戦で用いられた裁量労働に関するデータが「不適切」だったとして加藤勝信厚労相が謝罪。「なくなった」と国会で答弁した調査原票が厚労省の地下室から見つかり、ずさんな管理を批判された。