偽造マイナンバーカードによる詐欺被害が相次いでいる。河野太郎デジタル相はカードの安全性を強調するが懸念は募る。マイナンバーのシステムが自治体で機能していない実態も判明した。制度全体の抜本的な見直しが必要だ。
詐欺事件を受け、河野氏は携帯電話販売会社の従業員の点検が甘かったと指摘。注意点を記した文書配布やカードの読み取りアプリ開発などを検討すると述べた。
ただ、偽造カードは数年前から見つかっており、対策は遅きに失した感が否めない。今後、便乗犯が現れる可能性もある。
マイナカードの裏面には12桁の個人番号が記されている。安易に見せないよう注意を促しつつ、携行が前提の本人確認書類として利用させる運用自体に無理があるのではないか。効率化を主眼とするデジタル化が民間に余分な作業を強いることも理解しがたい。
会計検査院が11県とその全市町村を対象に、生活保護業務以外の1258機能の活用状況を照会したところ、約39%の485機能が全く使われていなかった。
こうした状況でありながら、政府は任意のはずのマイナ保険証の取得を強い、12月には現行健康保険証の廃止に踏み切る方針だ。
廃止を強行すれば、混乱は避けられない。方針撤回を重ねて求める。
現行の健康保険証を廃止しマイナンバーカードに一体化させる政府方針に反対する集会が23日、東京・永田町の衆院第1議員会館前で開かれた。
現行の保険証存続を訴える医師ら=23日、東京・永田町の衆院第1議員会館前で 現行の保険証存続を訴える医師ら=23日、東京・永田町の衆院第1議員会館前で 開業医らでつくる全国保険医団体連合会(保団連)が主催。医師や歯科医師ら約100人が「患者も国民も廃止を望んでいない」「保険証を残して命を守れ」と声を上げた。立憲民主、共産、社民各党の国会議員4人が参加した。
竹田智雄会長は「マイナ保険証は申請しないともらえない。暗証番号を忘れたり、カードが読み取れなかったりして、本来は保険で医療にかかれる人がかかれなくなっている」と現場の状況を説明。「現行の健康保険証があるから保険資格を確認できている。保険証を存続して皆保険制度を守らなければならない」と訴えた。