- これだけ政権が腐りきっていながら、なお傷一つつけることができないのには、様々な要因があるだろう。ただその一つがNHKの腐敗であることは間違いないだろう。日本の北から南まで、同一時間に同じニュースを流すことができるNHKの影響力はやはり強大だ。
- 私事で恐縮だが、昔、「福家警部補」がNHKでドラマ化されたとき、90分の単発ドラマであるにも関わらず、その浸透力の高さに驚嘆した記憶がある。
- そんな恩義のあるNHKだが、今の状態は悲しいの一言に尽きる。どうしてこうなってしまったのだろうか。
- 社説などでは、「受信料不払い」も意志表示の一つとあるが、個人的には受信料だけは払うべきだと思う。払うだけ払って、堂々と文句を言い続けることが肝要だろう。とにかく言い続けること。しつこく、しつこく、何度も、何度も、メールでも電話でも、同じことを言い続ける。日本やNHKを腐らせている勢力は、こうやってやかましく声を上げ、いつのまにか日本を牛耳るようになった。
- 「そんなバカみたいなことできない」とは言わないで。そう、首相を支持する運動団体などは、バカの集まりだ。バカだからこそ、周囲の白い目など気にせず、相手の気持ちなど忖度せず、それが正しいか間違っているか、人のためになるか、傷つけるかなど思いもせず、自分の主張だけをがなりたてることができた。そしてそれが実を結んでしまったのだ。
- 正直、もう手遅れなのだが、彼らと同じバカになりきって声を上げつづけなければ、最後の日は思ったより早くやってくるに違いない。
最高裁はNHK受信料制度は合憲と初めて判断した。テレビがあれば受信契約を結び、受信料を支払う法的義務があると指摘。テレビを設置した時点にさかのぼり負担する義務があるとした。
しかし、視聴者とNHKの関係は単に支払う、受け取るという関係ではない。公共放送はあくまでも国民の信頼によって成り立つ制度であり、受信料の額や政策など公共放送を支える視聴者の意見を取り入れる仕組みが必要だ。NHKは視聴者の公共放送の重い責務があることを忘れてはならない。
訴訟では「受信設備を設置した者はNHKと受信契約を結ばなければならない」と定めた放送法64条1項の解釈などが争点となった。訴えられた男性側は「法的拘束力のない努力規定。支払う必要はない」と主張。支払いの強制は契約の自由を侵害し、違憲だと主張していた。
最高裁大法廷は、受信料制度について「NHKに国家機関などからの影響が及ばないようにし、広く公平に負担を求める仕組みだ」として、「制度は国民の知る権利を充足するために採用され、表現の自由を確保するという放送法の目的を達成するために必要で合憲」とした。
ただし、現行の受信料制度を疑問視する意見もある。電気や水道、ガスなどの公共料金は基本料と従量制で料金が決まる。しかし、NHKの受信料は見た、見ないにかかわらず一律定額となっている。利用状況に応じた料金設定があってもいいだろう。
NHKは訴訟で、国家から独立した形で、安定的な財源を確保するために受信料制度は不可欠だと主張した。しかし、国家からの独立を疑問視したくなる事態も起きた。
2013年11月、安倍晋三首相は、自身への支持を公言する作家百田尚樹氏らをNHK経営委員に任命した。経営委が会長に選んだ籾井勝人氏は14年1月の就任会見で「政府が右と言うものを左と言うわけにはいかない」と述べ、政権と歩調を合わせる発言をした。15年2月には「従軍慰安婦の問題は政府のスタンスが見えないので放送は慎重に考える」などと発言し「自ら放送の自主・自律を投げ捨てる」として批判された。
NHKが政府の意向に沿うような偏った番組を放送した場合、視聴者はどのようにして意思表示すればいいのか。
現行の放送法上、視聴者は国会によるNHK予算の承認という間接的な手続きでしか運営に関与できない。受信料不払いは、視聴者の直接的な意思表示という側面もある。実際、職員の不祥事が相次いで発覚した04年以降支払い拒否が急増した。
テレビを設置した時点で契約義務があるというのなら、主要先進国のように、政府ではなく市民の代表を含む独立行政委員会が放送政策を決める制度の導入などを検討すべきである。
いまのNHKを見て、これに納得できるだろうか。 pic.twitter.com/O8iYRqBZAf
— KoichiroKOKUBUN國分功一郎 (@lethal_notion) 2017年12月6日
安倍政権は人事権を濫用してNHKを私物化している。
NHKの最高意思決定機関は経営委員会だが、経営委員会の委員の任命権は内閣総理大臣にある。(中略)
内閣総理大臣がNHK経営委員会の人事権を握り、その経営委員会がNHK会長を選出する。
そして、NHK会長は経営委員会の同意を得てNHK副会長と理事を任命するのだ。
これを見ると、内閣総理大臣はNHKを支配し得る人事権を有しているということになる。
ただし、経営委員の任命を定めた第31条には、
「公共の福祉に関し公正な判断をすることができ、広い経験と知識を有する者のうちから、」
の記述があり、内閣総理大臣が、この記述に沿って適正に経営委員を任命するなら大きな問題は生じないが、内閣総理大臣が、この記述を無視して、偏向した人事を行えば、NHK全体が偏向してしまうのである。また、NHKの財政運営については、第70条が次のように定めている。
(収支予算、事業計画及び資金計画)
第七〇条 協会は、毎事業年度の収支予算、事業計画及び資金計画を作成し、総務大臣に提出しなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 総務大臣が前項の収支予算、事業計画及び資金計画を受理したときは、これを検討して意見を付し、内閣を経て国会に提出し、その承認を受けなければならない。
NHKは予算を総務大臣に提出し、総務大臣が国会に提出して承認を受ける。
国会において、与党が衆参両院の過半数を占有していれば、NHKは与党の承認さえ得れば、予算を承認してもらえる。
そして、NHKの収入の太宗を占めるのが放送受信料である。
放送受信料を支えているのが放送受信契約である。
これについては、第64条が次のように定めている。
(受信契約及び受信料)
第六四条 協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。
この条文は、家にテレビを設置したら、放送受信契約を結ぶことを義務付けるものである。
しかし、NHKの番組編集は著しく偏向しており、NHKと受信契約を締結したくない主権者が多数存在する。
NHKの偏向を是正せずに、受信契約を強制することは、基本的人権の侵害である。
受信契約拒絶の自由を求めて訴訟が提起されたが、政治権力の忖度機関に成り下がっている裁判所が、放送法64条の規定を合憲と判断した。
政治権力がNHKも裁判所も支配してしまっている。
NHKは「みなさま」のことを一切考える必要がない。
NHKは、ただひたすら「あべさま」のご機嫌だけを窺う機関に成り下がっている。12月10日放送の日曜討論では、安倍政権の経済政策をテーマに討論番組が編成されたが、一段と偏向が強まっている。
この討論番組を評価する基準は、出演者の選定である。
そもそも司会者が偏向を絵に描いた存在の島田敏男氏である。
この時点で、放送内容が大きく歪む。
この日は4名の出演者だったが、政府代表プラス太鼓持ち発言者は定石である。
残りの2名の出演者に、対論を述べる代表的な論者が出演して、初めて「討論」の意味が生じる。
しかし、偏向NHKはこの2名の人選において、露骨な偏向を実行している。
残りの2名も、政府施策賛同者、財政規律優先論者を揃えており、これでは、公平な議論にならない。
安倍政権の施策に問題があることはもちろんだが、財政規律を主張する論者だけを登場させるのは、財務省への配慮なのである。
こんな偏向番組を制作するNHKとの受信契約強制を合憲とする裁判所は、もはや裁判所としての機能を失っている。
政治権力=行政権力がすべてを支配し、憲法も無視した政治を実行しているのが現実であり、この現状を打破するには、ただひとつ、この行政権力を打倒するしかない。
この点を明確にしておく必要がある。メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」