Muho’s diary

小説などを書いている大倉崇裕のオタク日記です。

小説などを書いている大倉崇裕のオタク日記です……が、最近は吠えてばかりです。見苦しくて申し訳ありません。でも、いま日本を支配している政治家とその一派の方が遙かに見苦しいでしょう? ちなみに、普通の日常はこちらです。https://muho2.hatenadiary.jp

停波がくる

  • こんなことを得意げに載せる新聞も新聞だと思うけどなぁ。立派な印象操作だし、偏向報道だと思うが。

 

www.sankei.com

 TBS(東京放送)の報道が偏向しているとして、9日、東京都港区赤坂のTBS本社付近で「TBS偏向報道糾弾大会・デモ」と題して約500人が抗議デモを行った。

 「TBS偏向報道糾弾大会実行委員会」が主催した。千代田区永田町の星陵会館前を出発した一行は「国民をだますな」「偏向報道・歪曲報道・印象操作」「TBS=放送法違反」などと書かれたプラカードや日章旗を手に行進。「TBSの偏向報道を許さないぞ!」「TBSの印象操作を許さないぞ!」などとシュプレヒコールを上げた。

 同実行委は、TBSの偏向報道の一例として、加計学園問題をめぐり、安倍晋三首相に「行政を歪められた」と主張した前川喜平前文科事務次官の発言を大々的に取り上げながら、疑惑を否定した加戸守行前愛媛県知事や原英史・国家戦略特区ワーキンググループ委員らの発言はほとんど取り上げなかったことなどを指摘している。「TBSの報道は放送法4条に違反しており、偏った報道は多くの視聴者を裏切っている。反省を示さないなら、貴社の電波停止を総務省に要求するしかない」との旨の抗議文も作成した。

 

  •  TBSは今までのスタンスを崩さず淡々とやっていっていただきたい。

 

 

  • デモ参加者の中から「停波」という言葉が出て来るのであれば、2016年毎日新聞記事にある危惧がいよいよ現実のものとなってきたと考えていいだろう。
  • 本来であれば、この時点で徹底的に追及しておくべきだった。自身の反省もこめて。

高市氏の「停波」発言 ホントの怖さ(毎日新聞 2016年2月18日)

 テレビ局が政治的公平性を欠く放送を繰り返した場合、電波停止(停波)を命じることができる−−。高市早苗総務相がそう述べたことに、「報道への介入だ」「言論の自由を脅かす」と反発する声が強まっている。この発言、ホントの怖さとは?

 

威嚇?

 事の発端は8日の衆院予算委員会。「放送事業者が極端なことをして、行政指導をしても全く改善されずに公共の電波を使って繰り返される場合に、全くそれに対して何も対応しないということは約束するわけにはいかない」。高市総務相が、民主党奥野総一郎衆院議員の質問に対する答弁で、放送局が政治的公平性を欠く放送を繰り返せば、放送法4条違反を理由に電波法76条に基づき停波を命じる可能性に言及したのだ。

 9日の予算委でも「将来にわたって罰則規定を一切適用しないことまでは担保できない」と重ねて答弁。安倍晋三首相は10日の予算委でこの答弁を追認し、「政府や我が党が、高圧的に言論を弾圧しようとしているイメージを印象づけようとしているが全くの間違いだ。安倍政権こそ、与党こそ、言論の自由を大切にしている」と主張した。

 高市氏は「従来の総務省の見解を答弁しただけ」と強調する。だが質問者の奥野氏は「意図的に踏み込んだ発言」とみる。元総務官僚で放送行政に詳しい奥野氏は「役人なら、ああいう答弁は書きません。放送法違反で停波することはないか、という私の質問には『仮定の質問にはお答えできません』と答えるのが普通。しかし高市さんは紙を見ることなく自分の言葉で答弁していた」と振り返る。

 砂川浩慶・立教大准教授(メディア論)は「安倍政権はこれまでもメディアコントロールに積極的だった。それゆえ今回、従来の政府見解を重ねて示したというが、『停波』への言及は放送事業者への威嚇となり、表現の自由への攻撃になりかねない」と警告する。

 

萎縮する放送現場

 

 総務省によると、虚偽報道などを理由とした放送法に基づく総務相総務省局長名などの番組内容への行政指導は、1985年からの約30年間で36件。そのうち最初の安倍政権(2006年9月〜07年9月)の約1年では7件に上る。一方、民主党政権下では一件の行政指導もなかった。

 さらに現安倍政権下でも、衆院選を控えた14年11月、自民党は安倍政権の経済政策について街頭で聞いたTBSの報道が偏っていたとして、在京6局に「公平中立」を求める文書を出した。昨年4月にはNHKとテレビ朝日の番組内容について事情聴取し、NHKに総務相が行政指導をした。

 「米国で、オバマ大統領に批判的な報道をしたからといって、民主党がテレビの幹部を呼びつけるでしょうか」と砂川さん。「NHKは国会での自身の予算審議、民放は4月の番組改編を決める今の時期に、何度も『停波』の可能性に言及すれば、夏の参院選報道にも影響しかねない」と危惧するのである。

 国際ジャーナリストでテレビキャスターも務める蟹瀬誠一さんが打ち明ける。「『停波』発言が出れば現場はどうしても萎縮する。日本は企業ジャーナリズムで会社の縛りが強い。放送局の経営者は権力者側に近い面があり、そのような幹部の下では現場にもプレッシャーがかかる」

 放送法4条では「政治的に公平であること」「報道は事実をまげないですること」など放送事業者が番組編集上守るべき規則を定めている。放送による表現の自由憲法21条で保障されているため、放送法4条は憲法に抵触しないよう、放送局自身が努力目標として目指すべき「倫理規範」というのが多くの学者たちの解釈だ。しかし93年のテレビ朝日の「椿発言」をきっかけに、総務省は、罰則を科すことのできる「法規範」とする解釈を採用。電波法76条では、電波停止命令の権限が総務相に与えられている。

 高市氏が、一つの番組だけでも政治的公平性を欠いたと判断する可能性に言及したことも波紋を広げた。政府は12日、「一つの番組でなく放送事業者の番組全体を見て判断する従来の解釈に何ら変更はない」との統一見解を示したが、高市氏や安倍首相はその後も「『番組全体』は『一つ一つの番組の集合体』であり、一つ一つを見て全体を判断するのは当然」と述べている。

 蟹瀬さんは「昔ならともかく、多メディア、多チャンネル時代には、一つの番組を見て判断することは意味をなさない」と批判する。ジャーナリストの江川紹子さんも「さまざまな偏り方をした多様な番組が存在し、放送界全体で公平性が取れている方が国民は多様な情報に触れられます」。

 「一つ一つの番組の中でバランスを取れ、両論を扱えとなると、国民に対する情報提供の範囲は狭まってしまう」と憤るのは砂川さんだ。

 

自由が侵される

 

 高市氏は、民主党政権下の10年11月に、当時の平岡秀夫総務相が同じ趣旨の答弁をしている、とも主張する。

 江川さんが言う。「議事録によれば、平岡氏は総務省見解を述べた上で、罰則については『極めて慎重な配慮の下に運用すべきもの』と強調しています。片山善博総務相(当時)も『表現の自由基本的人権にかかわること』だから『極めて限定的』『厳格な要件の下』で『謙抑的でなければいけない』と答弁している。高市発言とのニュアンスの違いは一目瞭然です」

 市民団体「放送を語る会」と日本ジャーナリスト会議(JCJ)は「言論・表現の自由への許しがたい攻撃だ」と高市氏に辞任を求める声明を発表した。しかし、この問題に対する新聞報道には各紙に温度差がある。

 米国のAP通信や「TIME」誌での記者経験のある蟹瀬さんは「欧米メディアならば報道機関が連携し、抗議しているところでしょう。日本では放送局は許認可事業だからどうしても立場が弱い。新聞や雑誌が反対運動を展開する必要がある」と語る。

 江川さんは「一般の人々の関心が決して高くない」ことに不安を感じている。「『政治的公平性を守る』『一方的見解ばかりを取り上げない』といった政府の言い分は一見もっともらしいから」と分析しつつ、「安倍政権は、マスコミ不信という世論を利用し、自分たちの権限を拡大しようとしている。政府自身が政治的公平性を判断し、気に入らない報道があったら呼びつける、というのでは言論の自由は守れません」と訴える。

 砂川さんは警告する。「今回の『停波』発言は、決して『高市&安倍VSテレビ局』という構図じゃない。メディアが規制を受けることは間接的に国民の言論統制につながる。それは戦前の歴史を見れば明らかです」。本当に怖いのは、メディアが政治に屈することで、私たちの「自由」がじわじわと侵されかねないという点なのだ。