『1987、ある闘いの真実』、そしてサウジアラビアのカショギ氏殺害で想起せざるを得ないのはかって日本の特高警察が行っていた拷問。自民党の憲法改正草案ではこれを禁止する規定の「絶対に」がわざわざ外されているんだよなあ・・・ https://t.co/pNzVsPLU9y
— hiroaki (@idioteque_hiro) October 21, 2018
現行憲法では「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる」となっているが、自民党の改正草案では「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、禁止する」となっている。ポイントは「絶対に」という言葉が外された点。
その背景には、戦前・戦中の特別高等警察、いわゆる「特高」による過酷な尋問や拷問が多く行われたことへの反省がある。よく知られている事件として、劣悪な環境で働かされる労働者を描いた『蟹工船』の作者で、当局の政治弾圧を批判した小林多喜二が特高警察の拷問で殺された例などがある。このような公務員による拷問や残虐な刑罰を二度と起こしてはならないという考えから、36条で「絶対的な禁止」を定めている。
また、「絶対に禁止」ということは「公共の福祉」のためであっても例外を認めないということを意味し、他の人権条項とは性質が異なっている。
「『絶対に』をはずせば、当然のことながら規範力は低下します。一定の条件があれば例外が認められるとの解釈につながる可能性があります」
『赤ペンチェック 自民党憲法改正草案』 大月書店 (2013/05/31)
と説明している。
「拷問令状」のような規制のもと、かつ医師の立ち会いを行うという条件付で、拷問を実施することを認める議論もある。
日本でも、早晩、憲法36条の「絶対的禁止」という言葉の「限定」解釈が始まるかもしれない。
クオンネット 第16回 刑事手続と人権(2) 拷問と死刑--36条(水島朝穂-憲法から時代をよむ)2007年11月19日稿