Muho’s diary

小説などを書いている大倉崇裕のオタク日記です。

小説などを書いている大倉崇裕のオタク日記です……が、最近は吠えてばかりです。見苦しくて申し訳ありません。でも、いま日本を支配している政治家とその一派の方が遙かに見苦しいでしょう? ちなみに、普通の日常はこちらです。https://muho2.hatenadiary.jp

民進党代表戦、枝野氏の出馬表明会見の全文。とにかく素晴らしい。

(https://thepage.jp/detail/20170808-00000013-wordleaf)

枝野:よろしいですか。報道の皆さんには本日、お忙しい中、お集まりをいただきましてありがとうございます。またインターネットなどを通じてご覧をいただいている皆さんにも感謝を申し上げます。私、枝野幸男、今般実施されることになりました、民進党代表選挙に立候補させていただくことを決意をいたしましたので、正式にご報告をさせていただきます。

 私が今回、立候補を決意いたしましたのは、今の日本が抱える大きな危機、4つの危機、それは私が国会に送っていただいて24年、私自身が大切に思い、取り組んできた課題に関して大変な危機を迎えている。その思いが出発点であります。24年、国会で仕事をさせていただきましたが、やはりなんといってもその中で一番大きな出来事は東日本大震災原発事故でありました。多くの皆さんが命を失い、家族、友人、仲間を失い、ふるさとを失い、コミュニティーを失われました。あの災害に、そして事故に官房長官として対応に当たらせていただいた。被害に遭われた皆さんにとっては至らなかった点、足りなかった点、多々あろうと思います。私ももっとできることがなかったか、常にそう自分に問い掛けています。

 自民党政権になって復興が加速すると期待をされていました。確かにハード面での復興は進んでいます。しかし心に大きな傷を負われた被災者、被害者の皆さん。その暮らし、そしてその心に、気持ちに本当に今、寄り添った被災地の支援がなされているのか。復興がなされているのか。歯がゆい思いで野党という立場からできることをやらせていただいています。ハードばかりに力が注がれて、1人1人の国民の皆さんに寄り添うことができていない。それはこの大震災、原発事故の被災地、被災者との皆さんとの関係が最も顕著に表れていると思いますが、そこにとどまるものではないと思っています。

 あの大震災のとき、絆という言葉が多く言われました。被害に遭われた人同士が、そしてそれを支える、応援をする全国の人たちが絆で結ばれました。しかしそれから自民党政権になり、この4年半、国民の間の絆は深まったのでしょうか。残念ながら社会の分断がますます進んでしまっている。あの災害のときにつながった絆はどこへいってしまったのか。そこには残念ながら自分と違う意見を敵視し、国民を敵と味方に二分をする今の政治の姿勢というものが背景にあるのではないか。もう一度、社会を包摂し、寄り添う政治を取り戻していかなければならない。そして被災者、被害者の皆さんに寄り添うその姿勢を第1に掲げて、復興に当たっていかなければならない。強く感じています。

 2つ目は、今の問題ともつながりますが、多様性が失われつつあると思っています。24年前、私が始めて衆議院選挙に立候補をしましたとき、具体的な公約を3つ掲げました。選挙制度、政治改革の嵐のときでした。そして製造物責任法、PL法。もう1つの公約は24年たっても実現できていません。選択的夫婦別姓の実現です。私自身はその後、結婚をして、妻は枝野を名乗っています。でもそうではない生き方をしたい、そうではない選択をしたい、そうした人のためにその道をしっかりとつくっていく。自分と違う意見を尊重し、自分と違う考え方の人たちも同じように生きやすい社会をつくっていく。私の政治に足を踏み入れようとした原点であります。しかし特にこの4〜5年、違う意見を排斥する、自分と異なるものを排斥するヘイトスピーチの横行などに見られるように、そんな社会現象と、それを許容する、そう思われても仕方がない政治が続いていると思っています。

 3つ目の危機は情報公開。国会に送っていただいて1期目、薬害エイズ問題という、大きな過大に取り組むことになりました。厚生省の地下に隠されていたファイル、この情報公開をさせることの困難さ、そのファイルを見つけ出すことができ、そのことによって薬害エイズの被害者の皆さんが、救済される。過去の行政の過ちがしっかりと検証される。情報公開の重要性というものをあのとき、実感をいたしました。その後、情報公開後の制定、あるいはその改正。情報公開の前提となる公文書管理法の制定。常に党の担当者、責任者という立場で、最前線でこの問題に取り組んできました。

 しかし昨今の状況はどうでしょうか。特定秘密保護法が強行をされました。PKOの日報問題や森友・加計問題はさまざまな問題点を含んでいますが、私は公文書管理法、情報公開法、どう見ても違法なことを堂々と行政が行っている。公文書管理法に関して、公文書が捨てられる、公文書ではないと言い募る。そして情報公開法に反して情報が隠される。こんなことを認めてしまう、容認してしまう。そんなことになったらこの国の政治は、民主主義は、少なくみても20年以上後退をしてしまうことになってしまう。私はそれを許すことができません。

 最後に立憲主義と法の支配に対する危機であります。私は2年しか実務をやっておりませんが、曲がりなりにも法律家の端くれであります。近代社会というのは法の支配と立憲主義が前提です。法の支配なき近代国家はあり得ません。立憲主義なき近代国家はあり得ません。しかし残念ながら法の支配が、立憲主義がないがしろにされています。立憲主義や法の支配が貫徹されない社会は前近代社会。それこそ100年も200年も、この国は時代が逆戻りしてしまったのではないかという危機感を持っています

(中略)

 しかし少子高齢化社会をどう乗り越えるのか。アベノミクスの評価をはじめとして、経済と暮らしをどう立ち直らせるのか。マイノリティーや人権に関する問題、情報公開や公文書管理、政治や行政の公正さなど、私たちが目指すあるべき社会像は自民党と明確に違っています。違っているからこそ自民党に代わる政権の担い手たり得るんです。同じであることが強調されれば、何も民進党である必要はない、自民党で良いのではないかということになってしまいます。第2自民党では本物の自民党に勝てるはずがありません。民進党の旗を明確にするために自民党とは違うと。その違いを強調、明確にして、あるべき社会の姿を明確に示してまいります。

 私はスローガン的に言えば、多様性を認め合い、困ったときに寄り添い、お互いさまに支え合う。そんな日本を目指します。この旗を明確に、そして高く掲げて、政権を目指します。認め合い、寄り添い、支え合う社会のために自民党と違う政策は多岐にわたりますが、今日は明確な違いを示し、党員サポーターそして国民の皆さんの関心が高いと思われる3点についてお話をさせていただきたいと思います。

 1つは経済と暮らしに関わる政治の役割です。自民党政権は自己責任を強調して、自由競争を過度にあおる政治を進めてきました。結果的に社会の格差が拡大し、そのことで消費が停滞しています。自分さえ良ければ良いという、エゴイズムがはびこり、社会全体がささくれ立ってきています。しかも安倍総理はお友達政治と揶揄され、あるいは都議会議員選挙の最終演説で有権者に向かって、こんな人たち、と指さしたことに象徴されるように国民を敵と味方に二分し、対立をあおる政治を進めてきました

 自己責任を強調することは政治の責任放棄です。国民を敵と味方に二分するのは全ての国民のために働くべき、国家のリーダーとしての役割と責任を見失った姿です。誰もが人生を通じて、自己責任だけで生きていけることはありません。今は自立でき、不自由を感じていない人でも事故に遭ったり、病気になったりするかもしれません。何よりも年を重ねれば、誰でも病気になりがちであり、介護が必要になることも多くなります。若くて健康でも子育てや教育に関する不安に応えるには、社会的な支えが必要です。そんな困ったとき、必要のあるときにお互いさまの精神で支え合う仕組みを整えること、それこそが政治の役割です。自己責任で社会が回っていくなら政治は要らないんです。

 今こそ、特に小泉改革以降の自民党政権が壊してきたお互いさまに支え合う仕組みを政治の力で取り戻しましょう。医療や介護を充実させること、どんな家庭でも子供たちの可能性が等しく保障されるよう、子育てや教育を支援すること、失業や貧困にあえぐ人、あるいは障害や難病に苦しむ人を下支えして押し上げること。そして自由競争だけをあおり、なんでも規制緩和すれば良くなるという幻想から抜け出しましょう。労働法制は緩和が必要なのではありません。非正規雇用を減らし、希望すれば正社員になれる道を広げましょう。過労死を招く長時間労働を厳しく規制しましょう。

(中略)

 第2の自民党との違いは、原子力政策です。先ほどのとおり、私は官房長官として、東日本大震災による原発事故の対応に当たり、絶対に事故が起きないというのは幻想であること、一度事故が起きると対応が著しく困難であること、そして取り返しのつかない被害をもたらすことを痛切に感じています。そしてその後、経済産業大臣として原発ゼロに向けた方針を作る先頭に立たせていただきました。ところが自民党政権となり、政府は原発をなくしていくのとは逆方向に進んでいます。1日でも早く原発ゼロを実現するため、最大限の努力をするのはあの事故に官房長官として対応し、その後の方針を経済産業大臣として作り上げた私にとって、ぶれることの許されない基本であります。

 幸い、民進党のエネルギー環境調査会では、蓮舫代表の肝いりで1日も早く脱原発を実現するための原発ゼロ法案を作る作業が進んでいます。この作業を引き継ぎ、年内にも脱原発をさらに前倒しすべく原発ゼロ法案を取りまとめ、国会に提出することを目指します。下野して4年半、技術革新が著しく進んでいます。再生可能エネルギーの導入も政権当時に想定した以上です。電力自由化の着実な進展を含め、原発を取り巻く環境や前提は大きく変わっています。

 民進党は、結党の際の基本的政策合意で、責任ある避難計画の策定などを再稼働の前提を付していますが、こうした前提は今、満たされていません。このような状況で私は原発の再稼働を認めることはできないと思っています。

 3番目は憲法9条と安全保障問題です。党は綱領で自由と民主主義に立脚した立憲主義を断固として守るとしています。安全保障における現実主義を貫く、その前提として専守防衛を掲げています。従って、立憲主義を破壊し、専守防衛を逸脱した集団的自衛権の一部行使容認は、到底認めることはできません。これを前提とした9条の改訂は党綱領に反するものとして徹底的に戦います。
 もちろん私たちは自由と民主主義、国民の人権と暮らしを守るために必要な改訂があるならば、しっかりと取り組む立場です。私は憲法調査会長として本当により良くなる、そして必要な改訂がありうるのか。知る権利、解散権の制約、地方自治という3項目をはじめとして広範な分野で検討を主導してきました。この検討は今後も着実に進めてまいります。

 立候補の正式な表明に当たって特に顕著な点を3点挙げましたが、このほかにも先ほど申し上げた情報公開や公文書管理の在り方、共謀罪特定秘密保護法、女性や障害者、そして性的マイノリティーの人権など、党のアイデンティティーに関わる課題はたくさんあります。こうした点でめりはりを付けて、自民党との違いを明確に示してまいります。

 私は、一部の皆さんからは古い顔のように見られているようでありますが、今、53歳であります。先日の自民党の党三役人事、内閣改造を見ておりましたら、自民党三役や閣僚の中に入っても若いほうから2番目であります。これまで3人の党首を幹事長として、あるいは官房長官として支えてきましたが、代表選挙には初めての挑戦であります。この間、何度もあった厳しい局面でそれに立ち向かい、苦闘するリーダーを一番そばで、一番長く支えてきたのが私だと自負しております。

 特に東日本大震災のときには責任の重大さに、率直に言って何度となく逃げ出したくなる思いに駆られました。いくつもの困難な場面から逃げることなく、リーダーを支え続けることができたのは、そんな私を支えてくれている周囲の皆さんのおかげでありますが、こうした貴重な経験をこの民進党にとって一番厳しい局面で逃げることなく生かすことが、私に課せられた責任であると思っています。